多発性硬化症
多発性硬化症 | 株式会社ゼニタ
多発性硬化症
【症状】
神経活動は神経細胞からでる細い電線のような神経の線を伝わる電気活動によってすべて行われています。電線が漏電しないようにビニールカバーで被われているように、神経も髄鞘というもので被われています。この髄鞘が壊れて中の電線がむき出しになる病気を脱髄疾患といいます。多発性硬化症はこの脱髄疾患の一つで、脱髄が斑状にあちこちにでき、病気が再発を繰り返すものが多発性硬化症です。
症状としてはどこに病変ができるかによって違いがあり、視神経が傷害されると視力が低下することや視野が欠けるようになります。小脳が障害されるとまっすぐ歩けなくなり、お酒に酔った様な歩き方になったり、手がふるえたりします。大脳の病変では手足の感覚障害や運動障害の他、認知機能にも影響を与えることがあります。ただし、脊髄や視神経に比べると大きいので、病変があっても何も症状を呈さないこともあります。脊髄が障害されると胸や腹の帯状のしびれ、ぴりぴりした痛み、手足のしびれや運動麻痺、尿失禁、排尿・排便障害などが起こります。
【治療法】
急性期には副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使います。一般に500mgないし1,000mgのソルメドロールという水溶性のステロイドを2~3時間かけて点滴静注します。これを毎日1回、3日から5日間行い1クールとして様子を見ます。本療法をステロイドパルス療法と言います。まだ症状の改善が見られないときは数日おいて1~2クール追加したり、血液浄化療法を行うことがあります。ステロイドの長期連用には、糖尿病や易感染性・胃十二指腸潰瘍や大腿骨頭壊死などの副作用が出現する危険性が増すため、ステロイドパルス療法後に経口ステロイド薬を投与する場合でも(後療法と言います)、概ね2週間を超えないように投与計画がなされることが多くなっています。急性期が過ぎるとリハビリテーションを行います。対症療法として有痛性強直性痙攣に対しカルバマゼピンを、手足の突っ張り(痙縮)に対してはバクロフェンなどの抗痙縮剤、排尿障害に対しては抗コリン薬など適切な薬剤を服用します。