名古屋市中区新栄にある、株式会社ゼニタ、銭田治療院千種駅前のスタッフブログを日頃からご覧頂きありがとうございます。

肩凝りに関する原因、疾患、予防方法をまとめましたので、ご覧ください。

今回のテーマ「肩凝り」

  • 肩凝りとは?
  • 肩凝りの原因と仕組み
  • 肩凝りの治療と予防
  • 自宅で出来る簡単セルフケア

そもそも肩凝りとは?

肩凝りは、”現代病”のひとつと言われます。

最近はスマートフォン、教科書が重くなったなどで小学生でも肩凝りがあり年齢問わず様々な方が肩凝りを訴えています。

欧米でもやはりパソコンやスマートフォンの普及で肩凝りが増えているようで、それを「neck pain(首痛)」「stiff neck(硬い首)」と呼んでいるようです。

最近ではスマートフォンが原因の肩こりを「スマホ肩」「スマホ巻き肩」などと言ったりもします。

そもそも、肩凝りという言葉はどこから来たのか。

それはあの旧1000円札で有名な夏目漱石が作った造語と言う説があり、それ以前には5000円札で有名な樋口一葉が「肩が張る」と言う言葉を作ったとも言われています。

そう聞くと、それほど昔からある言葉ではないのかと思いますが、Wikipediaで検索してみると江戸時代の初期には肩こりを示す言葉はあったようです。

以下wikipediaより引用

  • 「肩が凝る」という言葉は、夏目漱石による造語との説があり、さらに、それ以前は肩が張るなどと言われていた。
    • しかしながら、『門』の発表とほぼ同時期には、「肩が凝る」を現代語と同じ用法で使用している例は見られるし、それ以前より、「痃癖の凝り」といった表現が見られるため、この表現の源流を漱石のみに帰するのは疑問がある。
    • また、『さらに、それ以前はいわゆる肩こりの症状を特に指す用語は日本語になく』なる説は、『門』以前にも樋口一葉が「肩が張る」と言う表現を用いており、そもそも、1686年には、当時の医学書『病名彙解』において「痃癖」として紹介されており、その俗語が「うちかた」であるとの記述があって、妥当とはいえない。従って、「肩こり」と言う言葉が生まれたゆえ、その症状を自覚するようになったと言説は、正確性を欠く。
  • このような言語文化に特有の症状の例としてフランス以外ではまれにしか報告されない重い足(jambes lourdes)が世界的には有名である。フランスでは日本での肩こりと同じように重い足を治すための民間療法なども多く存在している。
  • 英語では肩こりを「stiff neck」「tight shoulders」「shoulder discomfort」「shoulder stiffness」などと表現する。以前はこのような種々の表記が見られたが、コンピューターやスマートフォンの普及で欧米でも肩こりが増えると、論文も増え最近は「neck pain」と表記されることが多い。

また、別サイトを見てみると、
「漢方一日一歩のブログ」というサイトでは以下のような記述がありました。

  • 肩こりは夏目漱石の造語とする説があるがそれは違う。漢方医浅田宗伯及び宇津木昆台も[肩へ凝り]という言葉を使用しており江戸時代一般的に使用されていた言葉と思われる。また式亭三馬の『浮世床』にも肩凝りの記載があるという。『浮世床』の作者式亭三馬もまた本業は薬屋である。
  • 参考サイト googleで「肩こり 語源」で検索しました。浅田宗伯『勿誤薬室方函口訣』に宇津木昆台は『古訓医伝』に「肩へ凝り」の記載があります。

いずれにしても、肩こりの症状自体は古くから日本人を悩ませてきた症状のようですね。

肩凝りの原因と仕組み

弊社代表取締役社長である銭田良博が分担執筆したTHE 整形内科」
(以下、THE 整形内科引用)から引用すると、

「THE 整形内科」

“筋性肩こり症は、持続的筋収縮による筋内の毛細血管の圧迫が引き起こす筋の虚血状態が疼痛誘発物質を産出することで生じる、頚肩部の不快症状である。多くの肩こり症では、僧帽筋と肩甲挙筋に持続的な筋収縮が生じている。そのような姿勢をとらざるを得ない状況の代表例に“猫背”がある。“猫背”では、頭頚部が肩甲骨に対して大きく前方に位置するために、頭頚部と肩甲骨をつないでいる僧帽筋と肩甲挙筋に持続的な収縮を強いている。“

つまり、「肩こり」とは、長い間筋肉に力がかかっていることで血行が悪くなることで痛みや不快感が出る症状のことで、代表的な姿勢としては「猫背」があり、主に「僧帽筋」と「肩甲挙筋」と言う筋肉に負担がかかると書いてあります。

① 身体面が原因の凝り
一般的には、仕事や家事などで同じ姿勢をとり続けることで起こります。

長時間読書をした時、立ち読みをした時などは肩が凝ります。

パソコンやスマートフォンでもそうですが、長時間何かを見ていると肩が凝るのはなぜでしょう。
多くの場合は、見ている姿勢が悪いのです。

人間は、長時間何かを見ていると目が疲れてきて、
無意識に近くで見ようとします。
目線が顔より下なことが多いので、近くで見ようとすれば身体は丸まり、前屈みになっていきます。
背筋が真っ直ぐな状態であれば首や肩の筋肉にかかる負担はほぼゼロですが、前屈みになるほど増えます。

例えば、首の傾きが5度と45度では首の筋肉にかかる負担は、
単純計算で8倍以上にもなります。

長時間このような負荷をかけていれば、
当然筋肉の疲労や血行不良がおこるため、痛みや関節の動きが悪いなどの症状が出てきます。

頭や腕を支える背中の大きな筋肉である僧帽筋(そうぼうきん)やその周りの筋肉の持続的緊張によって筋肉が硬くなり、血流の循環障害が起こります。

それにより、筋肉を動かす時に必要な酸素や栄養分が末端まで届かず疲労物質が蓄積されることで、これを刺激として「肩凝り」を起こすと考えられています。

これらに共通する原因は姿勢ではないかと思います。

コンピューターやスマートフォンなどといったものに関しては、どうしても液晶画面を見つめるあまり前のめり姿勢、猫背になってしまい常に首の付け根から背中にかけての筋肉が引っ張られた状態でいることによる肩、背中の痛み、そして実は目を使うと反射的に首の筋肉を使ってしまうので、首の痛みや不快感、だるさにもつながってしまいます。

そのため、姿勢を気をつけていても目を使っていれば首がつらくなってしまい、肩にまで影響を及ぼしてしまいます。

それ以外に、風に当たる、冷えた状態でいるなど、外からの刺激が原因で血行不良となり、肩凝りになる場合もあります。

② 精神面が原因の凝り
物理的な負荷だけでなく、精神的緊張も肩こりの原因になりえると考えられています。

東洋医学では「身体」と「精神」はお互いに影響しあうと考えられています。
この場合「睡眠障害」「歯ぎしり」などの症状も併せて起こる場合が多いようです。
ストレスを減らすことも重要ですが、さらに大事なことはストレスに対抗する力を増強させることです。

肩凝りの治療と予防

再び「THE 整形内科」から肩こりの治療部分について引用すると、

“理学療法のポイントは、頭頚部の位置を肩甲骨直上に近づけ、同筋が過剰収縮しなくてもよい状況をつくることである。猫背の改善のためには、後頭下筋群、大胸筋、小胸筋、斜角筋群の拘縮の改善が必要となる。拘縮の改善方法としては、ストレッチ、徒手によるFascia(ファシア)リリース、テーピングがあげられる。また難治症例に対しては、医師や鍼灸師と連携をとり、生理食塩水や鍼を用いた筋膜リリースによる拘縮改善を依頼する。

局所の拘縮改善後は、上半身の良肢位を保つために必要な顎前面筋群、頚部伸筋群、僧帽筋中部および下部線維、広背筋の柔軟性と筋力の改善トレーニングを行う。また、“猫背”のさらなる改善には、小殿筋や大腿筋膜張筋などの股関節周囲や、腰椎・仙腸関節も含めた下半身の局所治療や、姿勢のアライメントの調整も時に必要となる。そして、セルフケアや生活動作指導(パソコン操作時の姿勢など)によって、良肢位を保持するための患者教育および学習が何より重要である。”

とあります。

 

銭田治療院では、頚(くび)、顎、肩甲骨の周りの筋肉と、その周囲のFascia(ファシア)の緊張をとることで、肩こりや姿勢改善の効果が高いと考えています。

◆なぜ効果があるのか?

肩甲骨にはいろんな特徴があります!

「Fasciaの評価と治療、肩痛・拘縮肩に対するFasciaリリース」     肩関節周囲を中心にP.17 図1肩甲胸郭関節の動作(肩甲骨の運動) 引用

●肩の運動学

1、肩(肩甲骨)を上に上げる→挙上

2、肩(肩甲骨)を下に下げる→下制(引き下げともいいます。)

3、肋骨にそって外側に移動する→外転

4、肋骨にそって内側に移動する→内転

5、肩甲骨下部が斜め外側に移動する→上方回旋

6、肩甲骨下部が斜め内側に移動する→下方回旋

7、肋骨にそって上がる→前傾(上方傾斜)

8、肋骨にそって下がる→後傾(下方傾斜)

次に肩甲骨を動かす筋肉は、どう関わっているかご説明いたします。

肩には、17種類筋肉が付着します。

「プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系」

P286肩関節と上腕後面の筋 P290肩関節と上腕前面の筋 引用

筋肉名 作用

筋肉名作用
①   僧帽筋

(そうぼうきん)

下行部:肩甲骨を上内旋に引き、

関節窩(かんせつか)を上方に回す。頭を同側に傾け、

対側に回旋する。

水平部:肩甲骨内側に引く。

上行部:肩甲骨を下内側に引く。

②   広背筋

(こうはいきん)

上腕の内旋、内転、後方挙上、

呼息(こそく)の補助

(咳嗽筋:がいそうきん)

③   大円筋

(だいえんきん)

上腕の内旋、内転、後方挙上。
④   棘上筋

(きょくじょうきん)

上腕の外転。
⑤   棘下筋

(きょっかきん)

上腕の外旋。
⑥   小円筋

(しょうえんきん)

上腕の外旋、弱い内転作用もある。
⑦   肩甲下筋

(けんこうかきん)

上腕の内旋。
⑧   大菱形筋

(だいりょうけいきん)

⑨   小菱形筋

(しょうりょうけいきん)

肩甲骨を安定させる。

肩甲骨を上内側に引く。

⑩   肩甲挙筋

(けんこうきょきん)

肩甲骨を上内側に引き、下角を内側に動かす。
⑪   小胸筋

(しょうきょうきん)

肩甲骨を引き下げ、下角を後内側に引く。

関節窩を下方に回す。

吸息(息を吸うとき)の補足。

⑫   前鋸筋

(ぜんきょきん)

上部:挙上した上腕を下げる。

下部:肩甲骨の下角を前外側に引く

筋全体:肩甲骨を前外側に引く、

肩が固定されている場合には肋骨を挙上する

(吸息の補助)

⑬   三角筋

(さんかくきん)

鎖骨部(さこつぶ):上腕の前方挙上、内旋、内転

肩峰部(けんぽうぶ):上腕の外転

肩甲棘(けんこうきょく):上腕の後方挙上、外旋、内転

⑭   上腕二頭筋

(じょうわんにとうきん)

肘関節(ちゅうかんせつ):屈曲・回外

肩関節(かたかんせつ) :上腕の前方挙上、

三角筋が収縮している際に

上腕骨頭(じょうわんこうとう)を

保つ、上腕骨の外転と内旋

⑮   上腕三頭筋

(じょうわんさんとうきん)

肘関節:伸展

肩関節(長頭の作用):上腕の後方挙上と内転

⑯   烏口腕筋

(うこうわんきん)

上腕の前方挙上、内転、内旋。
⑰   肩甲舌骨筋

(けんこうぜっこつきん)

舌骨(ぜっこつ)を下げる。

*作用については、図を参照下さい。

「改訂第2版 運動療法のための機能解剖学的触診技術 上肢」     P.6図2-3各種運動の表し方 引用

上記の表のように、肩甲骨には首や背中だけでなく、

腕や胸部に繋がっている筋肉があります。

つまり、肩甲骨を動かすことで、肩だけでなく背中や首などの緊張が緩むことがわかります。

また、姿勢をただす時のメリットにもなります。

胸の筋肉が緩むことで、楽に背筋を伸ばすことができるからです。

今の時代はほとんどの人がスマートフォン、パソコンを持っていて、日常から切っても切れない存在です。

だからこそ体のことも気遣いながら生活することが大切です。

肩凝り対策

読書やパソコン作業をしても肩凝りになりにくくするには?

疲れにくい環境を作る事です。

・前屈みにならなくても見易いように、本やモニター、スマートフォンの位置や明るさなどを調整します。

・長時間連続で作業をしないよう、30分に一回程度は背伸びをしたり、席をたって歩くなど、負担のかかっている筋肉を動かしてあげることが大切です。

肩凝りの原因となるのが「血流障害」です。

血流をよくするためには、
① 食生活の改善
② 身体を温めること(入浴など)
③ 軽い運動
などがオススメです。

「食生活の改善」

食生活では、ビタミンC、ビタミンE、EPA、DHAが含まれた食品を摂取することがよいでしょう。
・ビタミンEの含有量が多い食品:大豆

・EPA、DHAの含有量が多い食品:アジ・イワシなどの青魚

・ビタミンCはビタミンCはコラーゲンの代謝過程において重要な役割を果たします。
また、ビタミンCに加え高たんぱく食を摂取する必要があります。
ビタミンCと高たんぱく食はコラーゲンの代謝促進により、
筋膜を含むFascia(ファシア)の痛みの改善にも有効です。

「身体を温めること(入浴など)」

身体を温める方法としてオススメなのが、「足湯」です。
45℃の熱めのお湯に30分ほど浸かる事で身体全体が温まり、肩凝りが和らいでいきます。

「肩甲骨周り、首のストレッチ」

家ではお風呂に浸かって温める、目を休める時間を作るなどセルフケアが大事です。

 

自宅でできる簡単ストレッチのご紹介

ストレッッチングには、動的ストレッチングと静的ストレッチングがありますが、反動をつけない静的なストレッチングを行います。

筋肉は急に伸ばすと縮もうとする働き(伸張反射)があり、ゆっくり伸ばすと緊張が低下し徐々に伸びていく性質があります。今回は、こわばった筋肉とFascia(ファシア)を伸ばすことが目的なので、ゆっくり伸ばしていきましょう。

筋肉が伸ばされているのを感じ、痛くないところで20位、維持します。

肩こりの場合は、肩甲骨の動きをしっかり出すと効果的です。

①から⑤をおこないます。

①両手を前で組み、身体の正面に腕を伸ばします。身体はそのままで、手を遠くへ離す方向に腕を伸ばしていきます。そうすると背中(肩甲骨の間)のFascia(ファシア)が伸ばされている感じで20維持します。

② ①と同様で、腕を斜め上に向けて、伸ばしていきます。そうすると背中の下のほうが伸ばされている感じで20維持します。

③ ①と同様で、腕を斜め下に向けて、伸ばしていきます。そうすると頚から肩にかけて伸ばされている感じで20維持します。

④両手を後ろで組み、後方に腕を伸ばしていきます。そうすると肩甲骨の間が狭まり、胸の筋肉が伸ばされます。20維持します。

⑤最後に両手を頭の上で組み、上方へ伸ばし、身体を右に倒していきます。腋(身体の横)が伸ばされている感じで20維持します。そのあと、左側も実施します。

各々のストレッチングを行うと全部で約120(約2分)程度の短い時間ですが、肩甲骨に付着する筋肉が伸ばされていき、頚(くび)から肩にかけての筋肉とFascia(ファシア)の緊張が緩和していきます。

じっとしている時間が長いほど、こわばりは強くなりますので、間にストレッチングを行うことで、こわばりを予防することができます。

作業に集中すると、2~3時間はあっという間に過ぎてしまいますね。できれば30分から1時間ごとにストレッチングをする。