こんにちは!

 

名古屋市中区新栄にある、

株式会社ゼニタリハビリテーション部で

かきぬま整形外科に出向している

理学療法士の

宮地 祐太朗です!

さて、ビタミンシリーズもとうとう最終章となりました。今回お話しするのは、脂溶性ビタミンの『ビタミンK』についてです。

 

 ビタミンKは実は多種類存在しますが、天然のものはビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン類)の2種類のみです。ビタミンK1は植物の葉緑体で生産され、ビタミンK2は微生物から生産されます。数種類あるビタミンKのうち、栄養学的に重要なものは、後者のビタミンK2になります。

 ビタミンKの最も有名な作用は、血液凝固(血液を固める)に関与するものです。この作用がないと、我々は転んで出血したときに血が止まらなくなってしまいます。血液が凝固するのには、プロトロンビンなどの血液凝固因子が必要ですが、プロトロンビンが肝臓で生成されるときに、繋ぎの役(補酵素)として働くのがビタミンKです。そのため、ビタミンKが不足すると血液中のプロトロンビンが減少し、血液凝固に時間がかかり、出血が止まりにくくなります。

 また、ビタミンKは丈夫な骨を作るためにも不可欠です。骨に存在するオステオカルシンというたんぱく質を活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す作用があります。

 厚生労働省では、ビタミンKの成人の1日の摂取目安量を男女ともに150㎍に設定しています。ビタミンKは多量に摂取しても健康被害が見られないため、上限量は設定されていません。ただ、注意しなければならないのは、血栓を防ぐために“ワ-ファリン”という薬を服用している人の場合、ビタミンKを多く含む納豆やブロッコリー、ほうれん草などの食品を摂取すると薬の作用が弱まるため、食べすぎには注意が必要です。

 では、ビタミンKが不足するとどうなるのか?そもそも、ビタミンKはさまざまな食品に広く含まれていること、さらにビタミンK2は腸内細菌によっても合成されるので、健常人では不足することは稀です。しかし、新生児(生後4週までの赤ちゃん)では腸内細菌からのビタミンK2供給が少ないため、ビタミンK欠乏による新生児メレナ(消化管出血)や特発性乳児ビタミンK欠乏症(頭蓋内出血)を起こすことがあり、最悪の場合、命にかかわります。また、ビタミンKの吸収は小腸で行われているため、加齢により膵液や胆汁の分泌量が低下すると、腸管からのビタミンKの吸収量が減少します。そのため、高齢者では、ビタミンK欠乏となる可能性があるため、注意が必要です。

 ビタミンKは、普通の生活をしている人であれば、あまり不足することはない栄養素ですが、油断はいけません。ビタミンKは、藻類、野菜類、豆類、肉類、乳類、卵類、油脂類に多く含まれています。特に発酵食品の納豆にはビタミンK2が特に多く含まれています。ご高齢の方や妊娠されている方は、ビタミンKを意識して生活できるといいですね!