こんにちは!千種さわやかクリニック通所リハビリテーション理学療法士・鍼灸師・柔道整復師の新田です。だんだん寒くなってきましたね。

今日は、骨盤骨輪骨折(マルゲーニュ骨折ともいう)について記していこうと思います。

 

<骨盤骨輪骨折>

☞前方外力:骨盤の外力が広い部分に正面から作用した場合

・前方要素が開く損傷(open back Type)

・恥骨結合の離開⇒前仙腸靭帯が損傷

※後仙腸靭帯は損傷しない

 

☞外力が狭い部分に正面から作用した場合:恥骨結合部分

・恥骨枝が骨折し、後方要素に損傷が及ばない。

 

☆恥骨肢の骨折は骨盤骨輪骨折のうちもっとも頻発➡膀胱や尿道の合併損傷

〖マルゲーニュ骨折〗=垂直重複骨折

・同側の恥骨上・下肢と坐骨の骨折+仙腸関節離開や腸骨後部や仙骨が垂直に重複して骨折の場合をいう。

※あくまで同側!

 

[症状]

・骨折した骨盤片は下肢とともに上方転移する

・骨盤部の著しい変形や、下肢の短縮が認められる

・棘果長は健側と変わらない

・背臥位:下肢伸展位での挙上は不能

・歩行、起立不能

・骨盤多発骨折では高い死亡率

 

[治療法]

  • 骨盤骨輪骨折でも1カ所での連続性が離断した場合と、2カ所で離断した場合の骨折では、治療法も予後も大いに違いがあり、合併損傷もかなり差が生じる。
  • 1か所での骨折は骨盤骨が形成する輪の連続性は離断しているが、骨折の転位は比較的軽度である。
  • 1か所の骨折や安定性の良い2カ所の骨盤骨輪骨折では3~5週間、キャンパス牽引法、直達牽引法などで固定する。

 

[合併症]

1)ショック

2)膀胱、尿道損傷

❶恥骨上肢と下肢骨折の場合➡後部尿道損傷

❷恥骨骨折➡前部尿道損傷

❸膀胱損傷は骨片によって穿孔を生じる。まれに腸管が骨折部に嵌入することがある。

3)腸管損傷:腹壁硬直、腸蠕動音消失、腹部張満感

4)神経損傷:転移のある片側骨盤骨折で腰仙骨神経叢損傷、仙骨骨折で仙骨神経叢損傷が好発する。

5)脂肪塞栓症

6)横隔膜破裂:骨盤骨折時の外力により腹圧が上昇して横隔膜が破裂することがある。

☞寛骨臼骨折

中心性脱臼

ダッシュボード損傷

股関節後方脱臼寛骨臼後縁骨折坐骨神経損傷=解剖学的整復