慢性関節リウマチに対するリハビリテーションの目的は、薬物コントロール下に、関節周囲の軟部組織の柔軟性を維持しながら、関節可動域、筋力等の機能を可能な限り維持し、変形や拘縮を予防すること、加えて、日常生活の中で生じる罹患関節への負担を、様々な自助具や生活指導を通して軽減し、生活そのものをスムーズに継続させることに尽きる。
その中でも、慢性関節リウマチの疼痛に合併して生じる周辺筋肉の緊張は、それ自体が疼痛の増幅につながるため、なるべく早期から、関節周囲のみならず、全身の痛みの部位を確認しつつ、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)に対する治療を行うことをお薦めする。また、鍼治療は、疼痛閾値を上げる効果により過度なスパズムの緩和が得られ、筋緊張由来の疼痛の絞込みに有効である場合もある。
併せて、セルフケアや生活指導にて活動性を保ち、日常生活をスムーズに行えるように支援する。その際、慢性関節リウマチの疼痛は、大きく見れば月単位で変化するため、毎月1回はリハビリテーションの中で、運動量や方法についての細かなリスクマネジメントが大切である。生活指導では、「しているADL」の範囲を維持することを大切にする。荷物やバッグは手先で持たず、肩にかけて持つと関節への負担が減らすことができる。重たいものを運ぶ時には、ワゴンやキャリーバッグを利用すると良い。また、手の届かないところのものをつかむリーチャー、レバーハンドル式の水道水栓、にぎりやすい自助スプーン、ぼたんかけが楽にできるボタンエイドなど、様々な自助具も開発されているので、必要に応じて紹介する。