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どのようなタイプの腰痛であれ、運動療法としては、hip-spine-syndromeへの対応は必須であり、股関節の拘縮の改善は確実に進めたい。加えて、関節構成組織の癒着や柔軟性を改善する徒手的運動療法は、関節内圧の是正や付着部障害の改善に有効であり、以下に述べる腰椎後彎域の確認と併行して実施するとよい。
腰椎後彎域を簡単にみるテストとして、側臥位で股関節45°屈曲位とし、上方脚を矢状面上で屈曲し、大腿が胸部に接触するか否かをみるものがある。このテストは、股関節固有の屈曲域が90°程度であることに注目したテストで、十分な腰椎後彎がない症例では絶対に大腿が胸に接触することはない。椎間関節障害、仙腸関節障害、筋筋膜性腰痛などは、このテストの陰性化と症状とがリンクする症例も少なくなく、セルフケアとしても指導している。
椎間板ヘルニアに伴う下肢痛については、坐骨神経症状の程度に留意しながら、椎間板内圧の軽減が必要で、腰椎前彎の維持、マッケンジー法などの伸展療法に加え、股関節、膝関節の角度を適宜組み合わせた坐骨神経の滑走訓練が、神経根の癒着予防ならびに極端なハムストリングス短縮予防に重要である。
筋筋膜性ならびに筋緊張が強く関与する症例には、胸腰筋膜と腸骨稜周囲に存在する広背筋・腹斜筋群・腰方形筋・胸最長筋・多裂筋・腸腰筋の走行と周囲の筋膜を含むFasciaの圧痛点を確認しながら、胸腰筋膜と腸骨稜の境界やL5~S2多裂筋、深層外旋六筋に対して鍼治療を行なうと有効な症例も存在する。もちろん予防のための生活指導や姿勢指導も重要で、患者との信頼関係の構築が腰痛治療には大切である。

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