足首の捻挫に対しては、医師にエコー(超音波画像診断装置)にて前距腓靭帯を含む外側靭帯、内側靭帯、二分靭帯、前下脛腓靭帯の損傷程度と、リフスラン関節や微細な骨折の有無、血腫の有無に関する適切な診断が、早期回復および競技復帰の重要なポイントである。それと同時に、捻挫した時の状態(受傷機転)を把握することと、熱感・腫脹・圧痛点などの臨床症状および疼痛を誘発される動作を評価する。重度な靭帯損傷では一定期間のギプス固定が行われるが、固定中から足趾の自動運動を励行し、伸筋・屈筋支帯と腱との癒着を予防する。靭帯の損傷が軽度である場合は軟性装具やテーピングで足内外反の動きのみを制動すると同時に、患側に荷重した場合の疼痛の有無を確認して、痛みがなければ松葉杖を使用した部分荷重歩行へと移行する。その方が、足関節の損傷部位以外の関節構成体に対する廃用症候群の予防となり、早期回復及び競技復帰に繋がると考える。もちろん前下脛腓靭帯損傷がある場合はこの限りではなく、医師との十分なコミュニケーションが必要である。
理学療法では、靭帯損傷の修復程度に合わせて運動強度を判断することが必要である。wiping ex.(床に置いたタオルの上に足を置き、前後に足を移動させることで足関節可動域を改善する方法)を中心にROMを拡大するが、底屈内反が強制される正座は8Wまでは行わせない。その後はclosed-kinetic chain(CKC)での筋力トレーニングを行なうが、諸動作において後足部の回外不安定性が明らかな場合には、インソールの併用が有効である。